日本にはまだ情報が少ないファミリーライフエデュケーションについて知りたい方、このサイトをご利用ください。

ファミリーライフエデュケーション(FLE)解説(さえるのwebsite)

all about Family life education

                         by  林 真未(はやしまみ) 

※2003年、カナダ・ライアソン大学にてファミリーライフエデュケーション資格を取得。

日本人初の認定ファミリーライフエデュケーター。

  

※2017年現在、日本人でファミリーライフエデュケーターの資格取得をした方はまだ数人程度だそうです。

                         詳しいプロフィールはこちらhttp://saeru2013.blog.fc2.com/blog-category-1.htmlをご覧ください。

 

ファミリーライフエデュケーション(FLE)とは?

 ファミリーライフエデュケーションは、急速に変化する社会、多様化する価値観の中で、従来のやり方では立ち行かなくなった家族生活とその幸福を支援するために、また、児童虐待や少年事件など、家族に関連した社会問題に対する教育的予防的アプローチとして、数十年前に北米で成立したものです。

 北米ではある程度の周知を得ていますが、日本では、まだその存在すらほとんど知られていません。

 ファミリーライフエデュケーション(以下FLE)は、直訳すれば「家族生活教育」ですが、日本で似たような名称で呼ばれる類のそれとは、根本的に異なります。

 日本における“教育”は、「足りないところ、劣ったところを標準以上に引き上げる」「教職者、専門家が上から指導する」もの。一方FLEは「その人の持っているものに注目しそれを伸ばす」「専門家は情報提供者あるいはファシリテーター(伴走、促進する人)として機能する」ことを基本におきます。FLEでは「標準」「こうあるべき」という規範はなく、「個人の事情」「本人のニーズ」が可能な限り優先されます。

 FLEの守備範囲は、家族に関すること全て。具体的には、結婚、出産、子育て、子育て支援、離婚、高齢家族およびその各種問題解決と幅広いものです。主に、講座、講演、ワークショップの形で行われ、参加者の意見をシェア(共有)しながら、インタラクティブ(相互的)な関係の中で、その時々のFLEが成立します。「家族とは二人以上の血縁または親密な関係に同居した経験のある関係と定義する」「社会的弱者の状況に気づくセンスを持ち、必要に応じて擁護者としてのスキルを提供」など、一定の基本的条件はありますが、各ファミリーライフエデュケーターの知識・認識・裁量と、毎回の参加者のリソース(持っているもの)によって内容は大きく変わります。

 このように、FLEは「生きた学問」であり、また、今までにないコンセプトのものですから、短い文章で説明するのはとても難しいです。もっと詳しく知りたい方はぜひさえるのブログ(http://saeru2013.blog.fc2.com/)をご覧下さい。

ファミリーライフエデュケーションたとえ話

億万長者のアイオワ人

FRPカナダがファミリーサポートアメリカの出版物から引用した資料です

(翻訳 林)

 

 48歳の時、ジョンスミスは億万長者のアイオワ人になった。だが、アイオワ宝くじに当たったわけでも、大金持ちになったわけでもない。ただ、彼のケアと社会の治安のため、アイオワの納税者に百万ドル以上のコストをかけさせているのである。ジョンスミスは成人してから、トータル約20年を刑務所で暮らしている(不法侵入、強盗、傷害が主な理由)し、少年時代は少なくても3年以上は訓練施設や更生プログラムにお世話になっている。彼の刑務所暮らしのコストは450,000ドル、加えて少年期のプログラムコストは175,000ドル、刑務所にいない時の保護観察コストは40,000ドル、裁判費用は150,000ドル以上にのぼる。この他に、精神障害を予防するための医薬コストが175,000ドル。

 ジョンスミスの母親は高卒の資格を持っていなかった。そしてほとんど常に極貧状態で、時々生活保護も受けていた。子どもを産むとき、何の産前ケアも受けられず、彼は早産の低体重児であった。ジョンは異常な活発さと混乱した家庭環境に悩まされ、母親は彼が7歳のときにコントロールしきれなくなって、ジョンは、養父に虐待された。学校ではしつけの面で問題視され、最終的に10年生を修了せずに終わった。刑務所の中のプログラムによる援助で、GED(義務教育終了か?)はついにとることができたけれど。

 ジョンは、納税者に課したコストのほかに、近所の住人から300,000ドルの物品を奪った。また、彼は二人の子どもの父親だが、そのうち一人は訓練施設行きの候補者である。ジョンは、次世代の億万長者のアイオワ人を確保する手助けもしていることになるだろう。

 こうしてジョンの例を見ていくと、どうすればジョンや社会にとっていい結果がもたらされたか、指摘することができる。

 もし、ジョンの母親が妊娠中に支援、相談、産前ケアが受けられていたら、彼女は健康な出産ができたかもしれない。

 もし彼女が、自己を高めるトレーニングや家族を発展させる機会を得ていたら、経済的に安定した家庭をつくれたかもしれない。

 もし、ジョンがごく小さい頃に、健康に関する初期的、予防的なケアがなされていたら大人になってからそれほど多くの医療行為は必要なかったかもしれない。

 もし、ジョンの家族がペアレンティングプログラム(親教育)やホームビジット(家庭訪問サービス)を受けていたら、ジョンは虐待されず、怒れる少年にならなかったかもしれない。

そして最後に、もしジョンが励まされ、勇気づけられていたら、高卒の資格をとって、キャリアを発展させていたかもしれない。

 端的にいって、ジョンが小さい頃に、予防的投資(何十万ドルというより何千ドル程度)がなされていたら、彼を、社会の脅威ではなく、社会に寄与する人物にする手助けができただろう。成人してからの期間、もしジョンが彼の世代の平均年収の3/4でも稼いで、アイオワ税を30年以上払ったとしたら、その額は50,000ドルぐらいにはなる。そして一番重要なのは、彼の子どもたちが依存でなく成功への道を歩めただろうということだ。

そうすると、全体として、ジョンは社会に何十万ドル分の寄与をすることになるのだ。同じ額を社会から消耗してしまうのではなく…。

 

道のたとえ話

ファミリーライフエデュケーションの大学講座向け教科書より

David Maceは、1990年に亡くなるまで、長い間、夫婦や家族向け予防教育プログラムの第一人者であった。彼はしばしば、曲がりくねって大変危険な山道の果てにある深い谷に位置する小さな町のたとえ話をした。町に続く道は、暗くて狭く、一番危険なカーブを知らせる何の標識も、ミラーもなかった。そのため、何年もの間、何台もの車が、崖に突っ込んだ。多くの人々は重傷を負い、死に至る者もあった。ついに町の行政が、なんらかの対策を立てることにした。何週間かの調査研究を経て、行政は対策を講じた。その結果、救急車が崖の下に待機することになり、これによって、事故が起きた時、生き残ったものは病院に搬送され、運がよければいくつかの命は助かることになった。

非論理的な点は明らかである。

なぜ、事故が起きるまで待っているのか? なぜ、標識やミラーにお金をかけないのか?もしそうすれば、たくさんの事故が防がれ、お金だけでなく、悲劇も、ずいぶんと少なくてすんだはずなのに!

ファミリーライフエデュケーションの講座や企画等

 支援者向け

 公的機関の担当者向け

 教員向け

 保育士向け

に、詳しくファミリーライフエデュケーションを解説する講座や、ファミリーライフエデュケーションの母体である家族支援学について解説する講座を提供しています。

また、

 親向け

 若者向け

に、ファミリーライフエデュケーションの手法を使った講座を提供しています。

 その他、家族支援に関する企画やプロジェクト支援など、リクエストに応じます。

 詳しくはこちらをご覧ください。http://saeru2013.blog.fc2.com/blog-entry-170.html

 

ファミリーライフエデュケーションの本

一番新しい本「Family Life Education: Working with Families across the Lifespan, Third Edition」

http://www.amazon.com/Family-Life-Education-Families-Lifespan/dp/147861143X/ref=pd_sim_14_2?ie=UTF8&refRID=03SQ1GD0DHJNNP43MK8S

上記の第2版の翻訳本「家族生活教育」

http://www.nanpou.com/?pid=90710427

ファミリーライフエデュケーションを含む家族支援の解説

 さえるのブログにて、様々な角度から、家族支援・子育て支援・教育・ファミリーライフエデュケーションについてたくさん書いていますので、この分野に興味のある方は、どうぞご一読ください。→http://saeru2013.blog.fc2.com/

※さえる…林とイラストレーター有田リリコのユニット名

 

アメリカのファミリーライフエデュケ―ション振興団体のサイト(英語です)

http://www.familylifeeducation.org/

ファミリーライフエデュケーターを認定している機関

(日本にはありません。日本家政学会が検討中だそうです。)

 

アメリカ

The National Council on Family Relations という団体が、資格認定をしています(英語です)。

https://www.ncfr.org/cfle-certification

 

カナダ

※現在カナダでは、ファミリーライフエデュケーターではなく、ファミリーエデュケータ―という名称で、

 The Canadian Association of Family Resource Programsという団体が、資格認定を行っています(英語です)。

http://www.parentsmatter.ca/index.cfm?fuseaction=Page.ViewPage&PageID=1166&stopRedirect=1

 

※私が資格を取得したライアソン大学の資格課程は、ファミリーライフエデュケーター資格課程とファミリーリソースプラクティショナー資格課程を統合し、ファミリーサポート(家族支援職)資格課程になりました。

ライアソン大学のファミリーサポート課程に関する情報サイト(英語です)→http://ce-online.ryerson.ca/ce/default.aspx?id=2117

調べたらきっと、他にもあると思います。

 

 

 

 

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